超音波金属接合の原理

金属同士が貼り付かない最大の要因は、金属は空気中に放置されると酸化物に覆われてしまうためです。例えばアルミニウムの場合、一瞬でも酸素に触れると強靭な酸化被膜を形成します。また金属表面は通常、油や埃などの物質による汚れがあるため接合は複雑になります。

超音波金属接合は、溶接パーツをアンビル上にセットし、ホーンを押し当てながら超音波振動を発生させます。この時アンビル側のパーツはアンビルに固定され、ホーン側のパーツはホーンと同調して振動します。

超音波振動により接合界面の酸化被膜や汚れが取り除かれ、結晶粒同士が原子間距離になるまで接近することで金属パーツ間で強力な引力が働き、冶金結合が生成されます。この冶金結合は通常、融点の約 1/3 の温度(再結晶温度以下)で行われます。